ESG投資とは、投資先となる企業の取り組みを評価して投資先を選定しつつ、ESG課題への継続的な取り組みを促すための投資方法だ。
ESG投資は、環境・社会・ガバナンスなど3つの観点に注力する企業の取り組みを評価する投資であるが、寄付との違いは投資のリターンを求める点である。日本で注目され始めて間もない投資方法のため、起源はいつなのか、どのような意味があるのかわからない方もいるのではないだろうか。
この記事では、ESG投資の起源や意味、SDGsとの違いも合わせて解説する。
ESG投資はいつから始まった?
ESGを念頭に置いた投資の起源は、1920年代とされている。米国キリスト教倫理の観点からタバコ、アルコール、ギャンブル、武器等の産業への投資を禁止したことがESG投資の始まりとされている。その後、2006年に国連PRI (責任投資原則、Principles for Responsible Investment)の誕生をきっかけに、ESG投資が広く知られるようになった。
日本では、2014年に金融庁が「責任ある機関投資家の諸原則」(日本版スチュワードシップ・コード)を発表し、その翌年にGPIFがPRI署名した。これらをきっかけに、機関投資家たちの注目が集まり、日本でも拡大した。さらに2015年ごろから、メディアなどで注目され始め、一般投資家の間でも広がっている投資方法である。
ESG投資の意味とは?
ESG投資とは、企業の利益や売上高などの実績を重視した従来の投資方法とは異なり、「環境・社会・ガバナンス」といった財務情報以外の観点も重視する。
環境や社会に配慮した事業を行っており、適切なガバナンスがなされている企業は、長期的な安定や成長が見込める傾向があるため、投資することで長期的なリターンを狙うこともできる。また、環境破壊や健康被害、貧困、差別などの環境問題や社会問題を改善する企業へ投資することで、間接的に社会貢献にも繋がる点でも、ESG投資の意味があるといえる。
世界的にESGの取り組みに対して投入する資金が増えているため、今後も市場の拡大が期待されている。
ESGとSDGsの違いは何?
ESGとは、環境・社会・ガバナンスに配慮した経営手法のことである。一方、SDGsは「Sustainable Development Goals」の略で「持続可能な開発目標」と呼ばれ、「持続可能な世界を実現するために世界が達成するべき目標が示されたもの」のことである。
2015年に国連によって採択され、持続可能でより良い社会を目指すために17の目標が設定されている。どちらも国連によって生まれた言葉ではあるが、SDGsは国連加盟国が取り組むべき目標であることに対し、ESGは民間企業が経営する中で取り組むべき経営手法である。
つまり、どちらも環境問題や社会問題の解決が大きな目標となる点は一致しているが、取り組む主体が違うということだ。また、SDGsが達成すべき目標に対して、ESGは企業や投資家がSDGsを達成するために取り組むべき手段ともいえるのである。
そのため、ESG経営を行う企業を選定しESG投資をすることで、SDGsの達成に寄与することができるのだ。
まとめ
ESG投資とは、1920年代のアメリカが起源となり、2006年の国連の採択によって広く認知されるようになった投資方法である。日本では2014年ごろから注目され始めている。
ESG投資は、長期的なリターンが見込めるなど利益を得るためにも有効だが、SDGsの達成に寄与でき社会貢献に繋がる意味もある。企業のESG経営を促すためにも、ESG投資を続けることに大きな意味があるだろう。
この記述は、マネーリテラシーを高めるためのものであり、投資を推奨するためのものではありません。
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