波粒二重性

波粒二重性（wave-particle duality）とは、物理学において、物質や放射線が波動と粒子としての性質の両方を持つことを指す概念です。古典物理学では、光は波動として振る舞うと考えられていましたが、光が粒子（光子）としても振る舞うことが実験的に示されたことにより、光が波粒二重性を持つことが明らかになりました。

具体的な例として、光の二重スリット実験を考えてみましょう。光を二つの狭いスリットを通すと、スクリーン上に干渉縞（明るい帯と暗い帯の交互に現れる模様）が観察されます。この干渉縞は、波動性の現れです。しかし、実験者が光を一光子ずつ送り、それぞれの光子がスリットを通ってスクリーンに到達する場合でも、徐々に光子が蓄積されると、同じ干渉縞が観測されます。この実験結果から、光は波動としての干渉を示すが、同時に光子として個別の粒子として振る舞うことがわかります。

同様に、電子やその他の微粒子についても波粒二重性が観察されています。電子の二重スリット実験では、電子が干渉縞を形成することが確認されます。このような実験結果は、物質粒子も波として振る舞うことを示唆しています。

波粒二重性は、古典的な直感とは異なる特性を持つ量子世界の基本的な特徴であり、量子力学の重要な概念の一つです。波動と粒子の性質が組み合わさったこの特性は、量子物理学における数々の現象や実験結果を説明するために用いられています。